ナポリには数多くのサルトリアが存在します。看板のないサルトリア、職人が個人的に仕立てているところなどを含めれば、その数は数百と言われています。

BESPOKE WEB MAGAZINE BY FUYA OHASHI
ナポリには数多くのサルトリアが存在します。看板のないサルトリア、職人が個人的に仕立てているところなどを含めれば、その数は数百と言われています。
しかしあまりにも自由度の高い生地選びの世界で、Holland & Sherry ホーランド&シェリーのビンテージ生地は、「よい生地」の基準を一つ作ってくれるような素晴らしいものです。
そのサルトリアの一角にあまり使われていないような雰囲気の、出来上がった服や仕立て途中の服を一時的に置くような部屋がありました。しかし気になったのは、その両脇の棚に詰め込まれている非常にテイストの偏った生地たちでした。
レナート・チャルディはナポリ仕立てを生み出した職人の一人であるアンジェロ・ブラージで修行をしたサルトで、ナポリではアントニオ・パニコと並ぶ最高峰のサルトとして名を馳せていました。
サルトリア・ミラネーゼの巨匠であるTindaro De Luca ティンダロ・デ・ルカが、2018年5月7日に亡くなりました。マエストロの死は彼の娘と家族によって伝えられ、ミラノのサンタマリア教会にて葬儀が行われました。
誤解されがちですが、袖にギャザーを寄せるのがマニカ・カミーチャではありません。一般的なスーツは割袖といって、肩と袖が平らにつながっていますが、この写真の袖付けでは袖が下に入り込んでいます。
サルトリア・ピロッツィの仕立ての特徴は、ナポリ仕立ての歴史を感じさせるオーセンティックなシルエット、上品で控えめなディテールと非常に丁寧な仕立てです。
副資材は極力廃し、アームホールの位置は高く、ショルダーパッドは用いません。現在のマーケットで見つかる中で最も軽快な裏地を使用することもまた、その軽さの秘密です。
春夏物として1957年にデビューしたトニックは、ドーメルの代名詞とも言われるほどの代表的な生地です。
しかし今では伝説的なサルトとなったアントニオ・パニコも、最初はサルトとして修行することを家族に反対されました。その時代には、仕立て職人を目指すのは貧しい家庭の子供たちが主だったからです。